摂るべきマグネシウム、摂らざるべきカルシウムと鉄

本記事は神戸ナカムラクリニック中村篤史院長から許諾いただき、「院長ブログ」に掲載された「カルシウム」を再編集したものです。

サプリメントで正しく栄養素を摂取するために気をつけること

アメリカでは、成人男性の3人に1人が何かしらの心臓血管系の疾患を抱えているそうです。これは、偏食や肥満による代謝障害が原因とされています。一般的な標準医療では、バイパスの手術や投薬による症状のコントロールが治療の主流になりますが、一方でオーソモレキュラー栄養療法ではどうするかというと、当然食生活の改善やサプリメントの摂取が中心となります。今回はサプリメント摂取による弊害についてです。

カルシウムの過剰摂取は心血管系疾患のリスクを増加させる

「National Cancer Institute 研究者グループが、50歳から71歳の男女38万8,229人(Health-AARP Diet and Health Study)のデータを分析したところ、カルシウムサプリメントを1日に1000mg以上摂取すると、心血管系疾患による死亡リスクが20%増加すると考えられると発表しています。この関連性は男性にのみ認められ、女性には見られませんでした。」

誤解されている人が多いかもしれませんが、オーソモレキュラー栄養療法が「とにかくサプリメントを飲め」と闇雲におすすめするものではないということです。摂取してはいけないサプリメントの代表例がカルシウムなのです。

編集者の見解
国内でもカルシウム添加を付加価値としてうたっている健康食品を多く見かけます。その種類は、加工食品にはじまりお菓子まで多岐に渡りますが、特にお菓子に砂糖とカルシウムのダブルパンチには本当に驚きます。それがあたかも健康をサポートする商品として並べられていますが、その危険性を知らない親御さんたちは良かれてと思って子どもたちに与えるケースが多いことを想像するたび、暗澹たる気持ちになります。

マグネシウムと血液との関係

たとえば、草食動物の象を見てください。あの巨体で骨には大量のカルシウムが貯蔵されています。普段何を食べているかといえば基本的には緑の葉ばっかりを食べてあの巨体を維持しているのです。そこで葉を見てみましょう。葉には葉緑素が含まれているから緑色をしています。この葉緑素の主な構成要素はマグネシウムです。これは、人間の血液の主な構成要素がヘモグロビンで、その活性の中心に鉄があるのと同じような関係です。つまり、植物の血液と人間の血液の違いは、構造の中心にマグネシウムがあるか、鉄があるかの違いだけなのです。加工食品が食事に占める割合が多くなっている現代人は、マグネシウムが決定的に不足していますから、足りないマグネシウムをサプリメントで摂取するというのは理にかなっているのです。「カルシウム不足」というフレーズは多く見かけますが、「マグネシウム不足」というフレーズはあまり見かけません。これが落とし穴のかもしれませんね。

ここで少しケルヴランの原子転換説に触れてみます。ケルヴランはマンガンが鉄に転換されると言っています、これは統合失調症の患者さんが抗精神病薬でなぜジスキネジアを発症するのか、その機序を整合的に説明するのに役立つと思っています。

この二つはいろいろな研究者がすでに確認している事実です。ケルヴランの説はこれらの事実をつなぐ橋渡しになっています。

さらに、ケルヴランはマグネシウムも鉄に転換されると言っています。鉄欠乏性貧血ででもない限り、あえてサプリメントで鉄を摂取する必要はないということになります。鉄鋼スラグみたいな粗悪な原料由来の鉄サプリメントを摂取するくらいなら、高くても良質なマグネシウムをサプリメントで摂取するか、料理にちょっとにがりを使うようにすると良いと思います。

精神医学の教科書によるとリーマス(炭酸リチウム)が躁に効くメカニズムは「不明」とされているのですが、これもケルヴランの原子転換でうまく説明できます。躁病の人も血中の鉄濃度(あるいは鉄代謝)に異常があるのですが、リチウムは体内でケイ素と結合して鉄になるとケルヴランは説いています。つまり、リーマスを飲むということは、間接的に血中鉄濃度の安定化に寄与しているということです。でも、この機序を考えれば明らかなように、その代謝過程でケイ素がどんどん消耗されています。リーマスを飲んでいる人はシリカのサプリメントを摂るか、スギナのお茶を飲むと良いですよ。ケルヴランの話をもっとしたいところだけど、きりがないのでカルシウムの話に戻りますね。

カルシウムの偏在がトラブルを引き起こす

人間は、腸管から必要なカルシウムを吸収し、その一方で、体内で不要になったカルシウムを尿から排出してバランスをとっています。ですが、一般的に加齢にともなって体内にはカルシウムがたまりがちになります。骨粗鬆症になっている人というのは、カルシウムが不足しているのではなくて、カルシウムをしっかりと骨にアンカーできていないことが根本的な病態です。むしろこういう人の動脈内壁や関節内にはカルシウムが多く沈着しています。カルシウムの不足が問題なのではなく、カルシウムの偏在が問題なのです。そして偏在しているところでは、間違いなく炎症が起こっているはずです。炎症のあるところにカルシウムあり、カルシウムのあるところに炎症ありなのです。

要するに、骨粗鬆症の治療や予防のためにカルシウムを摂っている人はかなりいらっしゃいますが、それはむしろ有害無益だと思います。骨の強化に役立つどころか、炎症を亢進し、活性酸素の発生を促し、動脈硬化を増悪させるだけなのです。

オーソモレキュラー栄養療法での治療としては、生野菜を食べる、料理ににがりを使う、マグネシウムのサプリメントを摂取するなどになります。さらに、不必要に日光を避けないこと。むしろ適度に陽の光に当たって肌でビタミンDを合成していれば、強く健全な骨を作る助けになります。

私たちは、体にとって本当に良いことを見極める力をつける必要があります。科学は発展し、人間がもつ本来の姿、本当の力の解明は進みます。逆説的に考えれば、それだけ解明されていない事実が多いわけですから、柔軟な思考で臨機応変に軌道修正できれば救われる方はもっともっと多くなると思います。

中村先生のお母様は大腸癌の診断を受けてから、手術と抗癌剤こそが治療への道と信じて癌を克服することなくご逝去されました。お母様が大腸癌の診断を受けたとき、先生はすでに医師だったという事実が影を落としています。

「医師でありながら、他ならぬ自分の母を説得できず、正しい治療の道へ導けなかった。医師である限り、この後悔をずっと心の隅に抱えて生きていくことになるだろう。」

先生は、だからこそ、ご縁があってクリニックに来院さられた患者さんには、同じような不幸な目にあわせまいと日々の治療に尽力されています。

マグネシウムが筋肉をやわらかくする

「足が攣るのはミネラル不足が原因の一つとして考えられます。ミネラルには多くの種類があり、身体の中にはカルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムなどのイオンが存在します。これらのミネラルは血液中に存在し、不足すると筋肉や神経の働きをする調節機能が衰えてしまいます。ミネラルは血液中に少量しか存在しませんが、その働きはとても重要なのです。(筋肉の痙攣(けいれん)の原因はミネラルバランス より引用)」

「マグネシウム不足」今一度マグネシウムとの向き合い方を確認してみませんか?

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オーソモレキュラー栄養療法で筋痛症改善を!

神戸ナカムラクリニックの中村篤史院長がUROOM調布成城にてオーソモレキュラー診療(自由診療のカウンセリング)を不定期ではありますが月に1回、10名様限定で実施いたします。筋痛症を根本から改善されたい方、筋肉の質を改善されたい方などはぜひご参加ください。



腰痛改善の鍵は高たんぱく質


筋肉のロックが原因となる腰痛、股関節痛、膝痛、五十肩などの疼痛ですが、発症した方の多くが、”質の栄養失調”に陥っています。
腰痛を改善するための体質改善にとても重要な栄養素、たんぱく質を摂取することで痛みが改善するメカニズムを詳しくご説明いたします。


ABOUTこの記事をかいた人

續池均

セブンシーズ・アンド・パートナーズ株式会社代表取締役  大学卒業後、食品メーカーに7年勤務し、ITベンチャー企業へ転職。2005年12月に事業管掌役員として東京証券取引所マザーズ市場に上場を果たす。その後、独立起業し現在に至る。 四児の父として育児に奔走しつつ、自らの體の再生に光を当ててくれた整体に興味を抱き2016年に「ミオンパシーサロンUROOM」を開業。5年の整体院経営で培った理論と実践からMTR Method™️を開発。「筋肉チューニング整体院UROOM」へ昇華改名し、オーソモレキュラー栄養療法に基づく栄養ストラテジーを実践する健康食品ブランド「医食同源Lab」の開発など人體研究者として邁進している。