精神疾患とオーソモレキュラー栄養療法

本記事は神戸ナカムラクリニック中村篤史院長から許諾いただき、「院長ブログ」に掲載された「精神疾患と栄養」を再編集したものです。

精神疾患に影響を与える食事の重要性

自分の子どもが何らかの精神疾患(統合失調症、うつ病、ADHD:注意欠陥・多動性障害、学習障害、発達障害など)にかかったとき、親御さんは「私の育て方が間違っていたのだろうか」と自責の念に駆られることが多いです。親御さんのいう「育て方」の定義にもよりますが、道徳的な意味での育て方が間違っていたという意味でなら、答えはNOでしょう。

親である前に人としてどうなのかというタイプの親であった場合、子どもを虐待していたり、育児放棄していたりと、その育て方が原因で子どもが精神疾患を発症することもあるでしょう。しかし、ほとんどの親御さんは、子どもにたっぷり愛情をかけて育てていらっしゃるので問題はないはずです。

ただ、そういう一般的な親御さんでも、”食事の重要性”をまったく認識しておらず食育という意味での育て方が間違っていたという意味でなら、答えはYESです。

筆者の見解
食事の重要性は理解していても、その実践方法が間違っている人が本当に多いようです。世界の人口70億人のうち20億人が肥満症と言われている現代社会において、ホモ・サピエンスが本来食すべき適正な食事を理解している人が圧倒的に少ないのではないでしょうか。

食事の重要性に気づけない親

食事だけが精神疾患の発症要因ではないですが、大きな要因の一つであることに疑いの余地はありません。もちろん、「お母さん、あなたの食育が間違っていたからお子さんにこのような不幸を招いたのです。」などと決してストレートには指摘しませんが、少なくとも、食事に関する無知については、認識を改めてもらう必要があると考えています。

子どもの欲しがるままに”甘いもの”を与えていたり、牛乳をたっぷり飲ませているお母さんには、食事改善のアドバイスをさせていただいています。

中村先生
「お子さんは、甘いものは好きですか?精製糖質はお菓子やジュースにたくさん入っています。甘いものを食べ過ぎていると栄養状態が悪くなります。栄養状態の良し悪しが精神疾患の発症に影響することがあります。」
お母さん
「いえ、先生。それは違うと思います。体が必要としているからこそ、欲しがるのだと思います。疲れたときには甘いものが欲しい。人間として自然なことではありませんか。牛乳がダメなのですか?何ですかそれは。給食でも毎日普通に出ていますよ。それが体に悪いと言うのですか?」
お母さん
「それに先生は先ほど、たんぱく質が必要だと言いましたよね。牛乳ってまさにたんぱく質そのものでしょ。それなのに牛乳がダメって、矛盾していませんか?」

このように、議論に熱を帯びてくるお母さんがたまにいらっしゃいます。こういう人にとっては、わが子が精神疾患を発症したのは、「遺伝の影響」もしくは「もっと精神病理的に根深い何かが、先天的にあったからだ」などと言われるほうが楽なのでしょう。

中村先生
「ぼくはかつて精神科病院でアルコール依存症の患者さんをたくさん見てきました。患者さんたちはお酒が欲しくて欲しくてたまらないのです。お酒のためなら、犯罪をもいとわない。それくらい体がアルコールを必要としているのが依存症なのです。ぼくは医師として、彼らの『体の声』に素直に耳傾けて、お酒を飲ませてあげるべきでしたか?」
お母さん
「それは極論です。先生は論点をすり替えています。」

要するにドーパミンの刺激を得る手段が、お菓子なのかお酒なのか、あるいは人によってはギャンブルだったりするという違いだけで”依存の生理的メカニズム”は共通なのです。だからこそ、オーソモレキュラー栄養療法では、ゆるやかなドーパミン刺激作用のあるナイアシン(ビタミンB3)が有効なのです。と言おうとしましたが言葉を飲み込みました。言っても無駄だと感じたからです。

こういうお母さんは、どうすれば子供の症状がよくなるのかという解決策を心から求めているのではなく、”自分を肯定してくれる論理”を得ることが目的になっているのです。もし食べさせるものが間違っていたとなれば、非が自分にあったと認めなければなりません。そして、こういうお母さん自身が実は糖質依存だったりするのも事実です。子供の食を変えるとなれば、自分の食生活まで改めざるを得ない。とても残念なことですが、家族で食べに行くスィーツバイキングが何よりの楽しみのお母さんにとって、精製糖質が悪者という事実は何とも受け入れがたいのかもしれません。

中村先生
「それぞれの考え方があって良いと思います。どうぞ、お母さんがベストだと思う子育てを実践してください。」
お母さん
「わかりました。では、やれる範囲でやってみます。」

と穏やかに言ってその場を丸くおさめ、お引き取り願うことにしました。

筆者の見解
編集者は、4人の子どもをもつ父親です。自分の子どもたちのお友だちを集めてボランティアでサッカーを教えています。そうしたご縁でたくさんのお母さんたちと知り合いになりました。食育についての理解不足は、今回の事例が決して特別ではないと実感しています。お菓子やジュースが巷にあふれている社会では、糖質依存のお子さんやお母さんがとても多いのです。もちろん、ご自身は依存症に陥っているとは思ってもいない様子です。少しコミュニケーションに難があるかなと感じたお子さんのお母さんに精製糖質の害やタンパク質の重要性についてお話することがあります。突拍子もない話ではなく、心当たりがおありの知識ですから、目から鱗と喜ばれることも多いです。そして、まだ精神疾患を発症していないお子さんの場合は、お母さん自身に新しい知識を素直に受け入れる余裕があるためか、食事改善にも取り組みやすいようです。3ヶ月もするとそのお子さんが活発になり、よくおしゃべりをするようになったケースもありました。食事が本当に大切なのだと再認識したできごとでした。

遺伝的要因の統合失調症とオーソモレキュラー栄養療法による予防

統合失調症に関して言えば、実は遺伝的要因もあります。一卵性双生児の研究など、精神疾患の遺伝性を示唆するデータは多いのです。今でこそ精神科への敷居が低くなったものの、昔は家系に精神病者が出たら必死にその存在を隠したものでした。本人のみならず、身内に精神病者がいるだけで就職とか結婚に影響が出たという時代があったのです。

そして、当時ほど露骨ではないにせよ、今でもそういう面は社会の多くの場面に残っているのかもしれません。履歴書に「うつ病の既往あり」と正直に書けば、採用される可能性はどうでしょうか。社員がうつ病になってしまい仕事ができなくなった場合、会社としてはその休暇期間の給与保証をしなければなりません。できればそういう負担は避けて心身ともに健康な人材を採用したいと考えるかもしれません。

昨今、精神疾患を発症している人が増えていますが、中村先生がみなさんにお伝えしたいのは、オーソモレキュラー栄養療法なら精神疾患の発症を予防できる(もちろん治療もできる)ということです。適切な栄養の摂取によって、遺伝性のある精神疾患を含め、あらゆる病気と無縁でいられるというのがオーソモレキュラー栄養療法の信条です。この栄養療法の知識が広く普及すれば、精神疾患も恐れるに足りないという理解が一般的になり、精神疾患の既往があるというだけで偏見や不利益にさらされるという不幸が減るのではないかと考えています。


オーソモレキュラー栄養療法で筋痛症改善を!

神戸ナカムラクリニックの中村篤史院長がUROOM調布成城にてオーソモレキュラー診療(自由診療のカウンセリング)を不定期ではありますが月に1回、10名様限定で実施いたします。筋痛症を根本から改善されたい方、筋肉の質を改善されたい方などはぜひご参加ください。



腰痛改善の鍵は高たんぱく質(プロテイン)


筋肉のロックが原因となる腰痛、股関節痛、膝痛、五十肩などの疼痛ですが、発症した方の多くが、”質の栄養失調”に陥っています。
腰痛を改善するための体質改善にとても重要な栄養素、たんぱく質(プロテイン)を摂取することで痛みが改善するメカニズムを詳しくご説明いたします。


ABOUTこの記事をかいた人

續池均

プロアスリートチューニングサロンMYONPATHY Muscle Labダイレクター
セブンシーズ・アンド・パートナーズ株式会社代表取締役

大学卒業後、食品メーカーに7年勤務し、ITベンチャー企業へ転職。2005年12月に事業管掌役員として東京証券取引所マザーズ市場に上場を果たす。その後、独立起業し現在に至る。
現在は、三児の父として育児のかたわらボランティアで「小学生低学年および園児向けサッカー教室」の運営や「学生の就職活動支援カウンセリング」など社会起業家として活動している。「ミオンパシーは、人々の痛みを癒し笑顔にすることができる」という理念に共感し、社会貢献の一環としてミオンパシーサロンUROOMを開業。