あなどれないビタミンDのスーパー効果

本記事は神戸ナカムラクリニック中村篤史院長から許諾いただき、「院長ブログ」に掲載された「ビタミンD」を再編集したものです。

ビタミンDが心身に及ぼす影響

すっかり春の陽ざしが心地よい季節になってきました。暖かくなってきたことで、医学的にどのようなメリットがあるのか考えてみましょう。

まず、真っ先に思い浮かべるのが衣替えですね。みなさん春になると薄着になると思います。そして、暖かくなってくると外に出歩く機会も増えてきます。この薄着で外出する機会が増えるということが、実はとても大切なのです。皮膚を多く露出して日光(太陽光線)によく当たる。みなさんご存知のとおり、日光が当たると皮膚でビタミンDが生合成されるのです。

ヒトの皮膚で生合成されるビタミンDは、正式名称をコレカルシフェロールといい、ビタミンD3の名で知られています。ビタミンDは、「万病に効く薬」と言ってしまいたいほど、心身にプラスの効果があります。

精神面への影響

精神面では、抗うつ作用があります。冬季うつなどは、ビタミンD欠乏性うつと呼ぶべきもので、ビタミンD補充が著効します。ただ、現代の標準医療では当たり前のように抗うつ薬が処方されており、ベターチョイスがないがしろにされている(というか医者がビタミンDにまったく目を向けていないのは)のはとても残念なことです。さらに、血中ビタミンD濃度の高い人はアルツハイマー病になりにくいというのは疫学の示すところです。

身体面への影響

骨の病気(骨粗鬆症、くる病、骨軟化症)にも効きますから、若い女性が極端に紫外線を避けるのはどうなのでしょうか。春から秋にかけては、週2回、日焼け止めを塗らずに5分から30分の日光浴で十分なビタミンDが生合成されます。若いときに運動部だった人は、高齢になっても骨粗鬆症になりにくいことが分かっています。運動による機械的刺激で骨が丈夫になったということもあるでしょう。そして、成長期の大事な時期にしっかり日光を浴びることで、ビタミンDの生合成が促進され骨が強くなっているのです。その貯金(貯骨)のおかげで、高齢になっても骨粗鬆症になりにくいのでしょう。ビタミンDが不足すると、副甲状腺機能が活性化し、骨の脱灰が促進され骨粗鬆症が進展するという機序もあります。

サーファーに花粉症なし」という格言

「夏にサーフィンするんだけど、その時期だけは花粉症が治る。食べ物とか特に気を遣っているわけじゃない。いつも通り、コンビニ弁当とかジャンクフードばっかり。でもなぜか、この時期だけは調子がいい」こういうサーファーがたくさんいます。

このメカニズムは次の通りです。海辺の強い日差しを浴びて、血中のビタミンD濃度が高まります。さらに、海水に含まれているミネラル(特にマグネシウム)が経皮吸収されます。ビタミンD、マグネシウムともに抗アレルギー作用があります。

マグネシウムが欠乏すると、IgE(免疫グロブリン)、炎症性サイトカイン、ヒスタミンが増加することが分かっています。いずれもアレルギーに関係するマーカーです。

ビタミンDの抗癌作用

ビタミンDには抗癌作用があります。日光曝露量が少ないこと、血中ビタミンD濃度が低いことが、大腸癌と乳癌のリスク因子のひとつであることが分かっていますし、逆に、ビタミンDのサプリメントを予防的に服用することで癌の発症率が低下する可能性があります。
また、腸内細菌の研究から「腸脳相関」ということが言われ始めていますが、最近ではさらに、「腸脳皮膚相関」を唱える先生もいらっしゃいます。確かに、発生的には脳と皮膚はいずれも外胚葉由来。いわば共通のご先祖を持つ器官で無関係ではないのでしょう。

うつ病やアルツハイマー病というのは脳神経系の疾患ですが、これらにビタミンDが効くということは、皮膚疾患にも効果があるのではないかというのは理にかなった推測だと思います。実際、アトピー性皮膚炎への有効性が示唆されています。

『ビタミンD濃度とアトピー性皮膚炎に対するビタミンDサプリの効果』

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30284328

腸内に無数の細菌がいるように、皮膚にも無数の常在菌が存在します。腸が荒れると皮膚が荒れるように、腸と皮膚の相関は確かにあるのでしょう。皮膚の免疫異常のアトピー性皮膚炎にビタミンDが有効だということは、腸の免疫異常(クローン病など)にビタミンDが有効だということもやはり筋が通っていますね。

「なるほど、ビタミンDというのはそんなに効くのなら、自分もサプリメントで摂取してみようかな」と思った方は、とりあえず5,000 IUあたりから始めると良いと思います。

何らかの不調があってその治療目的で摂取する方は、症状次第では25,000 IUなど高用量摂取も有効だと思いますが、同時にマグネシウムとビタミンK2の服用を忘れないことが大切です。

以下は、関連論文です。

ビタミンD欠乏時のマグネシウム補充

背景:

ビタミンDとマグネシウムは医学で最も研究の進んでいるテーマのひとつであり、人間の健康および疾病に強く関わっています。多くの成人はビタミンD、マグネシウムともに欠乏していますが、医療従事者はそのことを認識していません。

背景:

マグネシウムとビタミンDは体内のすべての臓器で利用されているため、不足するといくつかの慢性疾患を発症する可能性があります。栄養と病気の関連についての研究には互いに矛盾したものもあり、仮に栄養を充分に補充しても病状が回復しない可能性もあります。サプリメントの使用は、現時点では、治療というよりもあくまで予防にすぎないと思われます。
データソース:ビタミンDとマグネシウムと各種疾患との関係性についての文献をPubMedで検索した。

結果:

中年患者におけるビタミンDとマグネシウムの補充療法は、 非脊椎骨折、全死亡率、アルツハイマー病発症率を減少させました。

結論:

一般的に血中ビタミンD濃度の正常値とされている範囲の下限値は、病気の予防には不十分です。疫学調査によると、世界中の全成人の75%が血中25(OH)D濃度が30 ng/mL以下です。近年、ビタミンD不足を意識する人が増えているため、ビタミンDをサプリメントで補うことが一般的になってきていますが、マグネシウム欠乏はいまだに放置されたままです。慢性的なマグネシウム欠乏をスクリーニングで見つけることはとても難しいと言えます。なぜなら、一般的に正常とされている血中濃度だとしても、実際には中程度から重度のマグネシウム欠乏である可能性を否定できないからです。現在、ヒトにおける体内の全マグネシウム量を正確に評価する計測法は存在しません。マグネシウムはビタミンDの代謝に必須なので、ビタミンDを高用量で摂取すると重度のマグネシウム欠乏を引き起こすことがあります。ビタミンD投与による治療を行う際には、充分量のマグネシウムも併せて補うことが重要です。

編集者の見解
編集者は、日頃から運動習慣があり日光暴露は十分量だと思っていました。ただ、ヒトのビタミンDの体内生成力は年齢とともに低下していくことがわかっており、そのことを知ってからはビタミンD3をサプリメントで5,000IU摂取するようにしています。元々アレルギーがある、うつ傾向にある、骨折しやすいなどわかりやすい症状があったわけではないので、劇的な変化を感じるということはありませんでした。気をつけているのはマグネシウム欠乏です。暑くなれば発汗しやすくなりますし、日差しも強くなりビタミンD生成が活発になります。サプリメントでもビタミンDを摂取しているので、春から秋まではマグネシウムの摂取量も2倍に増やすようにしています。

一方で、70代後半になる高齢の両親は、たしかに、冬はふさぎ込むまでいかないまでもやや元気がなくなります。今年の冬は、毎日5,000IUのビタミンD3の摂取と、30分から1時間をウォーキングを心がけてもらいました。一時期落ち込んでいたのがうそのように元気になって一安心しました。50代以降の方はぜひビタミンD3をサプリメントで摂取してみてください。意外な効果を感じることができるかもしれません。


オーソモレキュラー栄養療法で筋痛症改善を!

神戸ナカムラクリニックの中村篤史院長がUROOM調布成城にてオーソモレキュラー診療(自由診療のカウンセリング)を不定期ではありますが月に1回、10名様限定で実施いたします。筋痛症を根本から改善されたい方、筋肉の質を改善されたい方などはぜひご参加ください。



腰痛改善の鍵は高たんぱく質(プロテイン)


筋肉のロックが原因となる腰痛、股関節痛、膝痛、五十肩などの疼痛ですが、発症した方の多くが、”質の栄養失調”に陥っています。
腰痛を改善するための体質改善にとても重要な栄養素、たんぱく質(プロテイン)を摂取することで痛みが改善するメカニズムを詳しくご説明いたします。


ABOUTこの記事をかいた人

續池均

プロアスリートチューニングサロンMYONPATHY Muscle Labダイレクター
セブンシーズ・アンド・パートナーズ株式会社代表取締役

大学卒業後、食品メーカーに7年勤務し、ITベンチャー企業へ転職。2005年12月に事業管掌役員として東京証券取引所マザーズ市場に上場を果たす。その後、独立起業し現在に至る。
現在は、三児の父として育児のかたわらボランティアで「小学生低学年および園児向けサッカー教室」の運営や「学生の就職活動支援カウンセリング」など社会起業家として活動している。「ミオンパシーは、人々の痛みを癒し笑顔にすることができる」という理念に共感し、社会貢献の一環としてミオンパシーサロンUROOMを開業。